虫歯菌は、飲食のたびに酸を作り出し、歯のエナメル質を少しずつ溶かしていきます。

エナメル質が溶けることを「脱灰」といい、健康な状態のお口であれば、唾液が酸を中和する「再石灰化」によって溶けたエナメル質が元に戻ります。しかし、食べカスなどの磨き残しが多く、脱灰と再石灰化のバランスが崩れると、虫歯が進行してしまいます。

歯のエナメル質が少し溶けただけの、歯の表面が白く濁った状態をCO（シーオー）といいます。これは超初期の虫歯で、毎日の歯磨きや歯科医院でのクリーニングによって、歯が再石灰化して健康な状態に戻る可能性があります。

歯のエナメル質が溶かされて茶色や黒色に変色し、小さな穴が空いた状態です。自覚症状は少ないので、定期的に歯科医院で検診を受けることが大切です。できるだけ削る部分を抑えながら、虫歯に感染した部分を取り除き、詰め物で修復する治療を行います。

象牙質とは、エナメル質の内側にある柔らかい層のことです。象牙質まで進行した虫歯はC2と呼ばれ、冷たいものや甘いものがしみることがあります。治療法としては、C1と同様に感染部分を削り、金属やセラミックなどの詰め物・被せ物で修復します。

虫歯がさらに進行すると、象牙質を虫歯菌が破壊し、歯の神経に感染が広がって炎症が起きます。この状態の虫歯はC3と呼ばれ、強い痛みを伴います。治療方法としては、感染した神経を取り除いた上で、根管を洗浄して薬を充填し、被せ物で修復する「根管治療」が必要になります。

歯冠の部分が溶かされ、歯の根まで進行した虫歯をC4といいます。神経が死んでしまうため、強い痛みは一時的になくなりますが、膿が溜まると激しい痛みが生じることもあります。治療法としては、抜歯して入れ歯を製作することになります。

なお、歯根部の膿に含まれる細菌が、血流に乗って全身を巡り、菌血症などの病気の原因になることがあります。虫歯は早期発見・早期治療に力を入れ、進行する前の予防ケアに取り組みましょう。

保険適用の詰め物・被せ物には、「金銀パラジウム合金」を用いた銀色の修復物、いわゆる「銀歯」を用いるのが一般的です。自由診療と比べると、安価に治療を受けることができます。

ただし保険診療で使う接着剤は、自由診療のものよりも密着度が低いのがデメリットです。経年劣化によって、歯と詰め物・被せ物の間にすき間ができて、内側で虫歯が再発することがあります。また、金属アレルギーを引き起こす可能性があります。

コンポジットレジンとは、天然歯に近い色味の歯科用プラスチックです。
メタルフリーの治療法となるため、金属アレルギーの心配がありません。また、型取りなどを行わず、コンポジットレジンを直接盛り足して修復するため、その日のうちに治療を終えることができます。

経年による変色があることや、強い力がかかることによる欠け・割れが起きる点がデメリットです。

自由診療の代表的な素材にセラミックがあります。セラミックは陶磁器の素材で、天然歯のように透明感があり、自然な見た目に仕上げることができます。

表面がツルツルとしているため、歯垢（プラーク）が付着しにくく、虫歯になるリスクを抑えられます。また金属を用いないため、金属アレルギーの心配のない治療法です。

ハイブリッドとは、セラミックとコンポジットレジンを混ぜ合わせた素材です。保険適用にも使われるコンポジットレジンを混ぜるため、オールセラミックよりも費用負担が抑えられます。また、オールセラミックよりも柔らかい素材で、かみ合う歯や歯ぐきへの負担が少なくなります。

セラミックやコンポジットレジンと同様に、金属アレルギーの心配がない治療法です。審美性の面では、銀歯やコンポジットレジンよりも自然ではあるものの、オールセラミックに比べると透明度が落ちる点がデメリットです。